ゲンロンカオス*ラウンジ新芸術校 第3期生展覧会グループC『完全なる仮説』
2017年12月5日 – 7:03 PM

「完全なる仮説」

青春が青い理由を知らない僕らはまだ青い。
青年は自分の年齢を確認することで、青春が青い理由を知る。

僕たちの<生>は、事前性を了解することによって事後的に輝く。
事前的な<性格>が、事後的な「運命」を予期させる。

今では「片づけろ/場所をあけろ」といったひとびとの欲望の増大が、かつてベンヤミンが名指した「破壊的性格」の美的機能をスポイルしてしまった。言い換えれば、僕たちの<生>の時間は瓦礫を積み上げることで形作られるが、短期的に破壊と処分が繰り返されることで、あるいは瓦礫を積み上げる理由を忘れてしまったがゆえに、世界もひとびとも<性格>を忘れてしまったのである。

もちろん<性格>によって導かれる「運命」が必ずしも幸福を約束するとはいえないが、ともあれ<性格>を忘れて生きることが、空虚に時間を釘づけにされていることは、退屈だと言わずになんというべきだろうか。

まず、僕たちはこの時代を「潔癖的性格」と名付けることからはじめた。そして、文化と人格が漂白される時代状況のなかで、それぞれが<性格>を存分に発揮し、世界の失われた文化的熱狂と偏食的であることの快楽と時代に抗う崇高なる精神とを思いだす場とするために、僕たちはそれぞれ、世界を性格づけるための仮説をたてることにした。

この展示会においても、鑑賞者のみなさんが世界の<性格>を思い出すきっかけとして、ひとつの鑑賞体系を提示してみたい。

1.終わらせることを-終わらせる/post-post-
2.終わらないことを-終わらせる/pre-post-
3.終わらせることを-終わらせない/post-pre-
4.終わらないことを-終わらせない/pre-pre-

どの態度が有効で可能なのか、それは彼/彼女の才覚に由来されるが、自覚的に態度を見極め、動物性を飼いならしていくほかに、僕たちは時代の潔癖さを耐えしのぐことはできない。

文化が漂白される時代のなかで、人格もまた漂白されてゆく。あなたの愛すべき<性格>があなたの来たるべき「運命」を導く。あなたが忘れられた<性格>を取り戻すことを、僕たちは願っている。

原文/スズキナルヒロ
編集/田辺結佳(すべなつ)

展覧会名:ゲンロンカオス*ラウンジ新芸術校 第3期生展覧会グループC『完全なる仮説』

会期:2017年12月9日(土)-12月17日(日)
開廊時間:
平日15:00〜20:00 / 土日13:00〜20:00
※但し12月10日は講評会のため、開廊時間は16:30〜20:00となります。

会場:ゲンロン カオス*ラウンジ五反田アトリエ
〒141-0022 東京都品川区東五反田3-17-4 糟谷ビル2F
※こちらの会場は「ゲンロンカフェ」ではございませんのでお気をつけください。

出展作家:大熊晴海 / スズキナルヒロ / 田邉結佳(すべなつ) / 三上悠里 / モリエミ / ヤウンクル関根 / 鷲尾蓉子