2016年8月26日(金) – 9月7日(水)
カオス*ラウンジ設立メンバーの一人であり、現在もっとも注目される若手アーティスト、梅沢和木の個展『画像の紙々』を開催します。
2008年頃から、インターネット上で収集した画像のデジタルコラージュによって「インターネット以後の風景」を描いてきた梅沢は、まさに「ポストインターネット・アート」と呼ばれる同時代的動向と並走するようにして、カオス*ラウンジとともにデビューしました。
しかし、2011年の震災以降、梅沢は震災によって変貌した現実の風景を取り込むことを試みはじめ、ポストインターネット的な主題は徐々に背後へ退いていきました。
梅沢のその「転向」は、ポストインターネットというゼロ年代からのテーマに、「震災後の表象」という新たなテーマ(であると同時に「表象不可能性」という20世紀的テーマ)を重ね合わせている、と肯定的に評価されることもあれば、反対に、現実への素朴な回帰に過ぎない、と否定的に捉えられることもあり、その評価は未だに分裂しています。
本展では、「画像」(インターネット、データ、虚構、、)と「紙々」(絵画、マテリアル、現実、、)という二つの言葉が組み合わされているように、梅沢がデビュー以来続けてきたポストインターネット的試みと、震災後の現実との接点を模索する試みの双方が示されます。
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イメージと画像と 梅沢和木
日々、インターネットをしている。家で、デスクトップPCで。
真面目な情報も不真面目な情報も等価に扱われて、蓄積し、検索され、消えていく。
アニメやゲームのキャラクターが大量に日々生まれ、消えていく。
日本の、アニメの、ゲームの、キャラクターの画像が好きだ。だから保存する。
美術の、震災の、政治の画像は別に好きではないが、しかし見なければ、保存しなければいけない。
なぜなら後者の画像群は現実と自分を繋げる手掛かりとなるからだ。
自分は人間で、身体があり、現実に存在している。虚構の、二次元の世界に居るわけではない。
身体があるから老いるし、いずれ死ぬ。それが本当に嫌で、苦しい。
だからあまり考えたくないのだけど、作品として何かを発表している以上、向き合わなければならない。
画像を再構築し、作品として発表してきた。
「作品」として発表するという行為に違和感を感じる時がある。
日々ネットで見て保存している画像の数々。
それらが脳内でかき混ぜられて、平面のイメージとして立ち上がってくる瞬間がある。
その脳内の瞬間こそが、理想とする画像のイメージに近い。
それを再現する手段としてモニタが、photoshopが、絵の具が、パネルが、紙が、ある。
脳内イメージを完全に共有することはSF世界でなければ不可能なので、仕方なく作品化するという感覚が常にある。
作品化する過程で、試しに組み合わせてみた画像をとりあえずハードディスク内に保存する。
そういった途中の画像の組み合わせみたいなもの達はどんどんたまっていく。
一人で家に居てそういう画像をなんとなく紙に出力してみたり、部屋のなんでもない物と組み合わせて貼ったり置いたりする。これはドローイングのような行為で、思考の整理に繋がる。
今回発表する紙々は、その延長にある。
身体の痕跡として、絵の具が、折り目が、汚れが、付いている出力された紙々。思考の断片の蓄積。
端々の紙々によって形成される画像の質感を、アトリエ内に展開する。
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【展覧会概要】
展覧会名:梅沢和木 個展『画像の紙々』
会期:2016年8月26日(金) – 9月7日(水) ※会期中無休
会場:ゲンロン カオス*ラウンジ五反田アトリエ
〒141-0022 東京都品川区東五反田3-17-4 糟谷ビル2F
開廊時間:15:00-20:00
【イベント】
◎オープニングレセプション
8月26日(金)18:00-22:00 ※ワンドリンク制
◎「お絵描きオフ」
9月1日(木)18:00-22:00 ※ワンドリンク制
◎トークイベント
梅沢和木×たかくらかずき(イラストレーター、アーティスト) 司会:黒瀬陽平
9月5日(月)19:00-21:00(懇親会あり)
入場料:2,500円(ワンドリンク付き)
定員:20名 ※要予約
(ご予約は、info[at]chaosxlounge.com または chaosloungeradio[at]gmail.com まで)