古民家一軒を作品化し、震災以後のアレゴリーを描き出した『キャラクラッシュ!』(2014年)以来、

おそよ1年ぶりとなる黒瀬陽平キュレーションによるカオス*ラウンジ展を開催します。

 

「市街劇」(寺山修司)と題された本展は、福島県いわき市平にある3つの会場を、ツアー形式でめぐる展覧会です。 震災後、いわきへリサーチに入ったカオス*ラウンジは、そこで出会った様々なモチーフ(平安時代の名僧「徳一」、浄土宗の袋中上人、いわきに残る不思議な「浦島伝説」や「死人田」 ..)

を手がかりに、現在という時空に縛られることのない想像力を求めてきました。

本展は、参加アーティストたちの作品をめぐることで、震災後の現在から様々な時空へジャンプし、そしてまた現在へ帰還するツアーになっているのです。

 

なお本展は「カオス*ラウンジ新芸術祭2015」と銘打っています。

カオス*ラウンジはこれまで、黒瀬陽平のキュレーションを中心に独自の企画展を定期的に開催してきました(2010年 の『破滅*ラウンジ』、2013年の『LITTLE AKIHABARA MONUMENT』、2014年の『キャラクラッシュ!』など)。このようなコンセプチュアルかつ、アクチュアルなテーマ性を持った自主企画展を、単独の展覧会として開催するのではなく、カオス*ラウンジの継続的な活動とともに繋がってゆくひとつの潮流としてプレゼンテーションするために、「カオス*ラウンジ新芸術祭」(毎年1回開催)と名づけました。

 

information

展覧会名:カオス*ラウンジ新芸術祭2015 市街劇「怒りの日」

主催:カオス*ラウンジ

企画:黒瀬陽平(美術家、美術評論家、カオス*ラウンジ代表)

開催期間:2015年9月19日(土) − 10月4日(日) ※土日祝日のみオープン

オープン日[9/19,20,21,22,23,26,27, 10/1,2,3,4]

好評につき、10/1(木),2(金)もオープンします!

開催時間:13:00−19:00

観覧料:無料

お問い合わせ:info@chaosxlounge.com

map

会場は福島県JRいわき駅周辺の3会場です

会場①:もりたか屋〈福島県いわき市平三町目34番地〉

会場②:平廿三夜尊御札受所〈福島県いわき市平十五町目〉

会場③:菩提院(浄土宗 涅槃山 袋中寺)〈福島県いわき市平字古鍛冶町59番地〉

ARTIST

荒木佑介

パルコ木下

荒渡巌

蕗野幸樹

井田大介

藤城嘘

今井新

村井祐希

梅沢和木

柳本悠花

梅田裕

山内祥太

乙うたろう

山本卓卓

たかくらかずき

hatra

冨樫達彦

EVENT

オープニングパーティー

日時:9月19日(土) 18:00~

会場:もりたか屋

トークイベント1

 

日時:9月21日(月)

    18:00−20:00

会場:平廿三夜尊堂

    (福島県いわき市平十五町目)

参加料:1,000円

出演

 

トークイベント2

 

出演

 

司会:岸井大輔(劇作家)

トークイベント3

 

日時:9月27日(日)

    17:30−19:30

会場:平廿三夜尊堂

    (福島県いわき市平十五町目)

参加料:1,000円

出演

 

ライブストリーミング

 

市街劇「怒りの日」ツアー配信

日時:9月27日(日)

    15:30−17:00

 

出演

 

東浩紀(作家、思想家)

黒瀬陽平

トークイベント4

 

日時:10月3日(土)

    18:00−20:00

会場:平廿三夜尊堂

    (福島県いわき市平十五町目)

参加料:1,000円

出演

 

Introduction

カオス*ラウンジは、福島のいわきを舞台に「市街劇 怒りの日」と題した「展覧会」を開催する。

「市街劇」とは、寺山修司が1970年代に〈発明〉した演劇の方法である。アングラ劇団「天井桟敷」率いる寺山は、劇場から外へと飛び出して街全体を劇場にする、という発想のもと『人力飛行機ソロモン』(1970)や『ノック』(1975)といったきわめて興味深い作品を発表した。しかし、寺山はただ屋外で上演しただけではなかった。寺山は、「市街劇」とは「出会いの偶然性を想像力によって組織する」ことであり、「歴史から追放された」ものたちや「満たされない霊」を呼び出し、「歴史を虚構によって再編する」ことだと言っていた。つまり、いまここに無いものとの出会いによって、現実や歴史を「あることもないこともできる偶然」(九鬼周造)の層へと引きずりおろし、私たちの想像力を「ありえたかもしれない歴史」によって満たそうとしたのだ。それは寺山なりの革命思想であり、「政治を通さない革命」によって世界を変えるための方法論だった。

カオス*ラウンジは、いわきでのおよそ1年間ほどの継続的なリサーチのなかで、様々な「偶然の出会い」を経験し、 様々な「ありえたかもしれない歴史」について想いをめぐらせた。たとえば、いわきにゆかりが深く、最澄と激しい論争を繰り広げたことで知られる平安時代の名僧「徳一」が、最澄や空海に変わって仏教のメインストリームを担っていたとしたら...... たとえば、いわきと琉球を浄土宗によってつないだ袋中上人がいた頃のように、東北仏教の拠点が今 もいわきにあったとしたら...... それらの夢想は実に魅力的だった。それは、過去の様々な出来事や人物を呼び出しながら、震災後の4年間をもう一度見直すことであり、不穏な空気をまといながら、いよいよ自閉してゆく国内情勢によって縁取られた「現実」から脱出しようとする試みのようでもあった。

しかし、私たちはいくつかの「ありえたかもしれない歴史」のどれかを(想像的に)選びとることよりも、そのように 現実や歴史を複数化してしまう力そのものについて、知りたいと思うようになった。もし想像力に、歴史や現実を再編する力があるのだとすれば、それはいったいどのようなものだろう。それはいったいどのように宿るのだろう。 そして それは、アートが扱いうるものなのだろうか。いわきでの「偶然の出会い」(興味深い史実や逸話、伝説、神話、昔話)のなかには、その力が様々なかたちを与えられて散らばっている。 私たちは、まるで「意識」から「無意識」へ潜ってゆくように、想像力によってそれらを繋いでゆく。 一見、お互いになんの脈略もなく、現在とも関係を持たずに埋もれてしまったように見える記憶の数々が、「市街劇」というかたちで創作の現場に召喚される。カオス*ラウンジの「市街劇」は、現実や歴史を複数化してしまう力そのもの、あるいはその力が作動している様々な場やイメージを経巡る旅として、現在に呼び出されるのだ。

 

chaosxlounge.com

「死生観光としての芸術」

陸奥賢(観光家、社会実験者)

岸井大輔(劇作家)

黒瀬陽平

「ありえたかもしれない、いわきの話」

日時:9月22日(火)

    18:00−20:00

会場:平廿三夜尊堂

    (福島県いわき市平十五町目)

参加料:1,000円

夏井芳徳(いわき総合図書館長)

黒瀬陽平

「現代美術と列島の〈無意識〉」

東浩紀(作家、思想家)

黒瀬陽平

「寺山修司を更新する」

高山明(演出家、Port B主宰)

黒瀬陽平

-キュレーションから〈演出〉へ-